香りは自分の経験と結びついている、という話は、
アードベッグのときにさせてもらいましたが、
自分の知らない香りで香りを表現されたとき、
どんな香りなのか想像するのが難しい。
ま、当たり前なんですが(笑)。
今私を悩ませている一つが、
「カナブン臭」とか「カブトムシ」と言われる香り。
虫って、いちいちその匂いを嗅ぐか?ってところが悩みの出発点。
ペットとして犬や猫を飼っていれば、その臭いが服につくのはわかる。
ま、私は動物を飼った経験もないのですが(笑)。
で、カブトムシはどうよ、と思い、ある時友人に聞いてみた。
「カブトムシの臭いってわかる?」
「虫かごで飼ったとき、その虫かごの臭いを嗅ぐと、
独特の臭いがするから、その臭いかな」と。
そんな話をマスターにしてみた。
すると「カブトムシ臭を見つけよう!」実験が開始された(笑)。
候補に上がったのが、
オールドパー、ヘイグ、クライヌリッシュの3つである。
たまたまカブトムシを飼っていたことのある方がおられ、
実験に協力していただいた。
最もカブトムシ臭がしたのはクライヌリッシュ。
クライヌリッシュは確かによく「カブトムシ」と形容される・・・。

OLD PARR 12年
HAIG 旧ボトル
CLYNELISH LOMBARD 1982-1998 16年 50%
「カブトムシというよりは、おがくずという方が正しいかも」と。
私が小さい頃、カブトムシを飼うと言えば、
虫かごにスイカの食べかすを入れていたのを思い出す。
自分ではやったことがなくても、
周りの男の子たちはよくやっていて、
その光景はしっかり覚えている。
虫かごの中には、
おがくず、スイカ、カブトムシからの排泄物などがミックスされて、
複雑な臭いを醸し出していたのですね、きっと。
これなら想像可能

なるほどねえ〜、
臭いというものは、本当に個人の経験と強くリンクしているものなんですね


こんなボトル発見
GLENLIVET Acorn 1977-2008 31年46%
香りを何に例えるかは、なかなか難しい。
香りは個人の経験と結びつくからなおさらである。
より独自な経験と結びつくと、
人とは共有しにくいが、その人の記憶にはしっかり残る。
例えば「おばあちゃんの家の箪笥の引き出しの匂い」と言われても、
「あっ、そう」と言うしかないし、聞いている方は想像するのも難しい。
でも、言った本人はといえば、
おばあちゃんの家の箪笥がリアルに蘇ってくるはずなのだ。
香りを何に例えるか、
結局のところ、正解も不正解もないのですね


THE WHISKY AGENCY 虫シリーズ
でも虫の香りはしません。
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