ウイスキーからいろいろな香りを取り出す作業,
やはり,なかなか難しいです。
といっても,ウイスキーの専門家になるわけではないので,
かなり勝手にコメントさせてもらっていますが(笑),
それでも,常日頃,不思議に思っていることが。
例えば,マンゴー様の香り,と言いますが,
それは,本当にマンゴーに含まれている,
マンゴーたらしめる香りの分子が入っているのか,
そのような分子は含んでいないけれど,
マンゴーみたいな香りがする,ということなのか・・・。
マンゴーの香りとマンゴー様の香りというのは,
本当のことを言うと,本物と贋物ということであり,
実は180度違うことになります。
「ウイスキーの科学」(講談社ブルーバックス)は,愛読書の一つですが,
そこに,バラ様の香りに関する記述があります。
「蒸留の際に,加熱によって新たな揮発成分が生成する。
特に,β―ダマセノンという成分は,
ワインなどにも含まれる「バラの香り」がする香気成分だ」と。
β―ダマセノン,初めて聞いた香り成分の名前。
名前の語尾と,構造式から,これがケトン類であることは確かです♪
(一応,これくらいの化学の勉強はします,アロマセラピストは

ケトン類って,普通,あんまりいい香りでないのよね〜と思うと同時に,
バラには,β―ダマセノンという香りの成分はありませんよ〜ということ!
本当のバラには入っていないのに,
バラっぽく思える香りの成分がβ―ダマセノンってことなんです。
ちなみに,バラの花には300くらいの香りの成分が含まれており,
それらをミックスした香りを「バラの香り」と
私達が認識しているのですが,
その中でも,バラたらしめている香りの成分は,
フェニルエチルアルコール。
これは実は水に溶けやすい成分なので,
バラの精油にはあまり含まれず,
バラの芳香蒸留水により多く含まれています。
よって,バラの精油よりバラの芳香蒸留水の方が,
どちらかというと,生のバラの花の香りに近い感じがします。

そんなわけで,話をウイスキーに戻しますが,
マンゴー,クローブ,シナモン,ミントなどなど,
いろいろな香りをウイスキーから取り出しますが,
あくまでも,それらの香りというのは,それらっぽい香りであって,
そのものズバリではないことが多いんじゃない?
とすると,なかなか不思議な世界にも思えます。
よく,モノマネを見ると,本人より本人らしく思えることがありますが,
そんな感じなんでしょうかね。
バラの香りより,バラ様の香りの方が,バラっぽく感じる・・・。
そういうことなんですかね

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