マルス@ ー六一〇ハップー
「こんばんは〜。遅れてすいません」と,Stand Barの扉を開ける。
今日も一人モルト会。
会終了後に余韻を楽しんでおられたメンバーのひとりとマスターが
パソコンの画面を見ながら何やら話している。
「むとうはっぷ。バスクリンが出る前,使っていたでしょ?」
むとうはっぷ?
むとうはっぷ?
むとうはっぷ

あ,昨日も聞いた,この名前!
昨日,アロマの講座を開いていました。
精油に含まれる成分の1.8シネオールの読み方を,
「イチハチシネオールって読むんだよ。
イチテンハチと読むと,理科系の人にバカにされるので注意ね!」
と説明していたとき,受講者の一人が,
「むとうはっぷみたい!」
と言っていました。
でも,正直,なんのことだかわからず・・・。

六一〇ハップ
「六一〇ハップ」と書くんですね

六一〇で「ムトウ」なるほど!
考案者が武藤さんなので「六一〇」,
英語のハッピーから「ハップ」!
えっ!ハップはハッピーだったんだ!!!なんだか超嬉しい

イントロが長くなりましたが,
六一〇ハップは,今回の鍵になるところなんです

それは,3本目で起こりました!

3-MARS MALT GALLERY CASK NO.565 1988-2005 17年 58%
山崎白秋氏コニサーズクラブレポート
シェリーなんですが,濃い〜〜〜〜〜〜〜。
どっシェリーーーーーー。
濃いというより,くどい。苦苦しい。味も。
時間たつと,舌がざらざらする。
「ほら,硫黄でしょ!」と,マスター。
硫黄の匂いはわかります。
でも,モルトの中の硫黄臭と言われるやつ,まだイマイチよくわかんな
い・・・。
この感じか〜。なるほど!
確かに,今回のシェリー系の香りの中で,比べてみるとこれだけ異質。
機械っぽいというか,カドがあるというか,ゴツゴツしているというか・・・。
味はこのざらざら感ね

「だから六一〇ハップよ」と,マスター。
???
六一〇ハップを知らない私は,なんのことやら。
これ,硫黄を成分とした入浴剤だったんですね!
硫黄臭=六一〇ハップという連想なんだ。
愛知県の会社が製造しているもので,どうも愛知限定で販売されていたのでは?と。
だって,愛知出身者しか,六一〇ハップ知らないよ!
富山出身の私は,硫黄といえば立山の地獄谷。もっと強烈ですよ,たぶん

硫黄の話になったので,ちょっとアロマの話を。
精油の化学も,ウイスキーとほぼ同じく,炭化水素+酸素の世界です。
ただ,多くがテルペン系化合物なので,
ウイスキーの芳香成分とはちょっと違います。
でも,エステル類を多く含む精油は,
ウイスキー同様,よい香りのものが多く,
ラベンダー・アングスティフォリア(Lavandula angustifolia)などが知られ
ています。

Lavandula angustifolia
(注1) テルペン:
C5H8からなる基本単位(イソプレン)が2つ以上集まってできている有機化合物。
(注2)ラベンダー・アングスティフォリア(Lavandula angustifolia):
「ラベンダー」には,実はいろいろな種類があります。リラックスの代名詞となっている「ラベンダー」は,Lavandula angustifoliaという学名のもので,これ以外の学名の「ラベンダー」はリラックス効果がない場合がありますし,妊婦さんが使ってはいけないものもあります。
精油に硫黄が含まれているのは珍しいのですが,
「ニアウリ(Melaleuca quinquenervia)」という精油には硫黄が含まれています。
香りは,一般的に言われている「ユーカリ(Eucalyptus radiate)」と似ていますし,
ユーカリと同様,風邪などに重宝する精油です。
ただ,ユーカリと違うのは,硫黄が含まれている分,
香りにさわやかさがないのです。
透明感がないというか・・・。
香りをかいでも,喉に何かが残る感じ・・・。
だから,めったに使わない精油で,正直,私は好きではありません。
こういう精油は芳香浴には向かないのです


Melaleuca quinquenervia&Eucalyptus radiate
ということは,話をウイスキーに戻すと,
くどく,苦苦しく感じてしまった3本目のウイスキーは,
あまり香りを楽しむのには向いていないウイスキーなのかも・・・。
硫黄の感じ,これで,よ〜くわかりました


3-MARS MALT GALLERY CASK NO.565 1988-2005 17年 58%
(まるで、グラッパの瓶の様・・・。)
というわけで,今回は,この3本目だけちょっと・・・で,あとはすべてOKよ

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